暑い夏も過ぎ、風が涼しくなってきました。ちょっとした運動をするにはもってこいの季節です。そこで、奥松島のオルレを一周してきました。
このコースは2018年にオープンしたトレッキングコースです。距離は全部で10km、多少の登りはありますが、険しい山などはありませんので、歩き慣れている人なら簡単に回れるでしょう。
普段運動していないと最後の登りで苦労するかも知れませんが、初心者でも最初から最後まで歩けるルートです。
場所はその名の通り奥松島の宮戸島にあり、ざっくりと島全体を回る道行きです。
発着点は島に入ってすぐの「あおみな」という場所です。あおみなは奥松島の総合案内所みたいな立ち位置の施設で、売店、食堂、遊覧船の発着所が一つにまとまっています。
売店では道案内のパンフレットを無料で配っています。場所によっては分かりづらいところもあるので、パンフレットは忘れずもらってから出発してください。
ゆっくり景色を見ながら回って4時間程度のコースです。道中所々にお手洗いはありますが、出発前にあおみなで済ませておくことをお勧めします。整備されたばかりなので綺麗ですよ。
あおみなを出発したら、まずは道を挟んで向かい側にある大高森展望台に向かう階段を登ります。運動不足だとこの登りはちょっときついかも知れません。
正規のルートだと最初は大高森には登らず、途中で逸れて薬師堂に向かいます。本来の薬師堂はあおみなをはさんでこの反対側にあるのですが、道が整備されていないため、こちらに拝殿が移ってきているのだそうです。
薬師堂を過ぎて道なりに歩くと、長い階段を降りて奥松島縄文村歴史資料館の駐車場に出ます。
もし最初に登りで体力を使うのが不安なら、薬師堂は後に回して、海沿いの道を歩いてくればここで合流できます。
縄文村の敷地を突っ切って裏手に回ると、ちょっと道の分かりづらいエリアに出ます。細い道を入っていくので、案内のパンフレットを見ながら、目印の青と赤のリボンを見落とさないように気をつけて進んでください。
医王寺を過ぎて小道を進むと、里浜貝塚の貝層観察館が見えてきます。普段は鍵がかかっていますが、開放されていれば貝塚の様子をそのまま見られる珍しい場所です。
この観察館近辺から、しばらくGoogleマップでは道がない場所を進みます。案内を見落とさないように気をつけましょう。
観察館を過ぎて下ると、貝塚の名前の由来になった里浜が見えてきます。何とものどかな場所で、内湾の静かな波と、向こうに見える松島の島々はとてもゆったりした気持ちにさせてくれます。
里浜を過ぎると、今度はちょっときつめの登りです。とは言えあまり長くは続かないので、ゆっくり休みながら登って行けば苦もなく登れます。
登り切ったところの道は少し分かりづらいのですが、そのまま進めばタブノキの下に出られます。
タブノキから波津々浦まではパンフレットで特に何も案内されていませんが、見通しもきくので目印を見失うことはないでしょう。
波津々浦~陸の奥松島はまたのどかな場所で、天気の良い日に歩けば「たまにはのんびりした散歩も悪くないなぁ」と思えるはずです。
陸の奥松島はその名の通り昔海だった場所で、遊覧船で海から見るような眺めが拡がっています。今自分が海底を歩いていて、あそこが島で、なんて考えながら歩くと楽しいですね。
ただ、このあたりは農作物を害獣が食べに来るらしく、けっこうな頻度で獣よけの音が鳴っています。かなり大きな音なので、気をつけて歩いていないと声を出して驚いてしまうかも知れません。
続いて、パンフレットでは月浜海水浴場の前に稲ヶ崎公園の番号が振ってありますが、道案内通りに進むと稲ヶ崎公園にはたどり着けませんので気をつけてください。
オルレのルートから外れて200mくらい進むと稲ヶ崎公園に着けます。ちょっと寄り道ではありますが、この場所は全ルート中大高森の次に眺めが良いところなので、是非寄り道するのをお勧めします。
稲ヶ崎公園から月浜海水浴場へはとても急な階段を下りますので気をつけてください。
海水浴場を突っ切って進むと、今度は新浜岬に出ます。海の浸食でとても薄くなった岬で、今後何百年かの間には削られてなくなってしまうかも知れません。
以前は岬の突端まで行けたようですが、今では危険防止のために入れなくなっています。岬の全体像は稲ヶ崎公園から見るとよく見えます。
新浜岬を過ぎて道なりに進むと、次は大浜田湿地が見えてきます。2011年の震災で津波に根こそぎ流されてしまったため、湿地らしい植生はまだ完全に戻ってきてはいませんが、夏の終わり頃に行けば絶滅危惧種のミズアオイを見られます。
大浜田湿地を抜けたらオルレ最大の難所、歴史を紡ぐ林道です。この道は林道と言うよりも踏み跡とか獣道と言った方が良い場所で、鬱蒼とした森の中を進みます。
当然明かりなどはありませんので、大浜田湿地を見ている段階で暗くなってきたと感じるようなら、踏み込まない方が良いでしょう。登りがきつく相当時間がかかるので、夏なら3時、冬なら2時を過ぎていたら迂回して帰る事をお勧めします。
迂回路はパンフレットに書いてあるとおり県道27号線です。こちらは照明もありますので、多少暗くなっても不安なく進めます。
また、ここから先は2km近く登りが続くので、ここまで歩いてきて体力的にきついと思った方も迂回を推奨します。
歴史を紡ぐ林道はその昔集落同士をつないで通学路にも使われた道だそうです。途中で尾根を進むのですが、木が茂っていて眺めが良いところもありません。ただ、それでもこの道を進む価値はあります。
それは、この道の終着地点に大高森があるからです。
大高森は日本三景松島を最も良い眺めで見られる四つの場所、四大観のうちの一つです。他の四大観は全て山を背負っているため、パノラマで眺めが開けているのは大高森だけです。
ここからは松島だけでなく、遠くの牡鹿半島や金華山まで見通せます。10kmのトレッキングコース終着点としては文句ない眺めを楽しめますので、是非登ってみてください。
歴史を紡ぐ林道側ではなく、あおみな側から登れば多少暗くても進めますので、牡鹿半島から昇る朝日や、松島に沈む夕日を楽しめます。
大高森展望台を過ぎると今度は下りです。かなり急な階段が続くので、疲れた足で転ばないように気をつけた方が良いでしょう。
最初に薬師堂をスキップした方は途中で薬師堂に分かれるルートがあるので、そちらを回れば全てのスポットを巡れます。
全体として、スタート~陸の奥松島はとてものどかな散歩コース、海の眺めを楽しめる稲ヶ崎公園~大浜田湿地、最後にはちょっと本格的なトレッキングと、そのご褒美を楽しめる大高森というルート構成で、4時間歩いても飽きませんでした。
是非あなたもちょっとした運動のつもりで奥松島を楽しみに来て下さい。
忙しい毎日を忘れさせてくれる半日をお約束します。
車で訪問するのも良いですが、電車で来た場合は野蒜駅前でレンタサイクルを借りる事をお勧めします。
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