まきあーとカフェ・石巻市博物館

公開日:2022/01/06 
最終更新日:2022/01/06
こちらの内容は、最終更新日から2年以上経過しているため、内容が古くなっている可能性があります。

2021年の春にグランドオープンを迎えた石巻文化センター「マルホンまきあーとテラス」。有名な建築家である藤本壮介さんによる特徴的な外観や、しっかりした音響設備の整ったホールについては既に記事を書きました

実はこのまきあーとテラスがパワーアップしましたので、改めて記事にしてみたいと思います。

パワーアップしたのは2箇所です。

一つ目はカフェがオープンしたこと。10月まではカフェスペースだけで実際にカフェは営業していなかったのですが、ここに20年以上の歴史を持つ老舗のカフェ「珈琲工房いしかわ」がオープンしました。

まきあーとカフェ

まきあーとカフェの様子

いしかわは1999年に石巻駅前の小さな店舗でコーヒー販売を始めて、震災を機に北村に移転、石巻駅の「マンガッタンカフェ・えき」と仙台エスパルにも店舗を構えているコーヒー屋さんです。

まきあーとカフェ

カフェの様子。周りに飲食スペースがあります。

「石巻」「仙臺」という筆文字のパッケージデ有名なので、ご覧になった事のある方もいらっしゃると思います。ちなみにこのパッケージ、石巻市に在住の現代書家、千葉蒼玄先生の揮毫です。

珈琲工房いしかわのコーヒー

珈琲工房いしかわのコーヒー。高名な書家によるパッケージが特徴です。

千葉先生は昨年2月にはロサンゼルスで開催された「LA Art Show」に招かれ、アメリカで最も大きく国際的にも有名なLACMAという美術館に作品が収められています。東北楽天イーグルスのチームスローガンも千葉先生の字なので、知っている方も多いでしょう。

話がちょっと逸れてしまいましたが、いしかわのコーヒーは味にも定評があり、「いしかわのコーヒーしか飲めない」という人もいるくらいです。

まきあーとカフェ

カフェの前だけでなく、館内の色々な場所に椅子とテーブルがあります。

その味の秘密は「良いコーヒー豆を使っているから」だそうで、豆によっては普通のコーヒーの10倍以上の仕入れ値のものもあるそうです。ブレンドコーヒーも全て最上級品を使って作られており、魚で例えるなら大間の本マグロ、金華さば、氷見の寒ブリ、若狭のタイ、トキシラズで作った海鮮丼のようなものです。

まきあーとテラスのために作った「まきあーとブレンド」に加え、フランスから取り寄せたクロワッサンとアップルパイも楽しめます。昨年から珈琲工房いしかわ本店はテイクアウトのみの営業になっていますので、店員さんが淹れたいしかわのコーヒーをゆっくり楽しみたい方は是非まきあーとテラスに行ってみてください。もちろんテイクアウトもできますので、近くを通った時に立ち寄るのもお勧めです。

まきあーとブレンド

まきあーとテラスをイメージした新ブレンド。

近くに行けないけれどコーヒーだけでも試したいという方は通信販売もありますので覗いてみると良いでしょう。

さて、マルホンまきあーとテラスのパワーアップポイント二つ目は石巻市博物館の開館です。

石巻市博物館

11月3日に石巻市博物館がオープンしました。

こちらも元々場所は確保されていたものの、開館したのは2021年の11月になってからでした。

博物館は常設展示室と企画展示室に分かれています。常設展示室では石巻市の歴史や地域縁の人物のコレクションがまとめて展示されています。

入ってすぐの所には「石巻の源風景」と題して、石巻市の各地域の写真と説明のパネルが展示されています。どれも綺麗な写真ばかりなので、これだけでも見る価値があります。

石巻の源風景

博物館入ってすぐの展示、石巻の源風景

その向かいには石巻出身の木彫刻作家、髙橋英吉の作品展示室が作られています。これまで石巻高校の図書室に展示されていて、一般の人にはなかなか見られなかった観音像をはじめ、大小様々な作品が収蔵されています。

髙橋英吉展示室

沢山の作品が収蔵された髙橋英吉の作品展示室

髙橋英吉の作品展示室を過ぎると、今度は「石巻時空パノラマ」という展示があります。まきあーとテラスのすぐ近くにトヤケ森山という場所があり、そこからの眺めが最高なのですが、この場所ではそのトヤケ森からの眺めを巨大スクリーンで体験できます。

石巻時空パノラマ

トヤケ森山殻の眺めを再現した石巻時空パノラマ

順路はそのまま左奥の歴史文化展示室に続いていて、こちらでは石巻の歴史と貝塚からの出土品などが展示されています。更に進むともっと新しい時代の石碑や、北上運河を使った海運の様子なども見られます。

歴史文化展示室

歴史文化展示室に展示されている土器

石巻の絵図

石巻湊地区の絵図

歴史文化展示室の最後は近代の漁に使われた道具や、懐かしい看板などを集めた暮らしの展示エリアで締めくくられています。

懐かしい看板

見覚えのある方もいるかも知れない、懐かしい看板

石巻時空パノラマ展示の右奥には毛利コレクションの展示室があります。毛利コレクションとは、住吉町に住んでいた故毛利総七郎氏が七十年以上を掛けて集めた10万点を超える資料の総称です。

毛利コレクション

毛利総七郎氏が残したコレクション

毛利氏が私財を投じて発掘した貝塚の出土品から近代の浮世絵や絵図などの生活資料まで多種多様なものが展示されています。

毛利コレクションの前には石巻に縁のある先人をまとめたパネル展示があり、こちらもじっくり読んでいくと「石巻にそんな人がいたのか」という発見があります。

石巻の先人

石巻に縁のある先人達の展示

常設展示だけでも見る価値がありますが、2022年の2月27日までは企画展示として3.11の津波で被災した文化財の復旧についてまとめた展示を行っています。

マルホンまきあーとテラスは「石巻文化センター」ですが、震災前までの石巻文化センターは海沿いにあり、津波で壊滅的な被害を受けました。この時、文化センターに収蔵されていた文化財の数々も津波の被害を受けてしまいました。

企画展示のパネル

2021年11月から22年2月までの企画展示の様子

その文化財を復旧させるための「文化財レスキュー」の活動についてまとめたのがこの展示です。実際に復旧された作品も展示されていますので、是非ご覧になってみてください。

津波から救出された展示物

津波から救出された展示物が飾られています

この企画が終わった後も、また別の企画が用意されているそうなので、次の企画にも期待していて良いと思います。

また、博物館には資料室が併設されていて、地域の郷土史に関する資料などは無料で閲覧できます。資料の持ち出しはできませんが、資料室自体が静かで綺麗な居心地の良い空間なので、ここでじっくり調べ物をするのも良いでしょう。

資料閲覧室

博物館併設の資料閲覧室です

マルホンまきあーとテラスは石巻駅から自転車で20分程度の距離です。始めて石巻に来られた方も駅前でレンタサイクルを借りればすぐに来られますので、是非来てみてください。

石巻駅前、石巻観光案内所のレンタサイクル

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