石巻といえばマンガの町。そんなイメージが定着していますが、その理由は「マンガの王様」と呼ばれた石ノ森章太郎が「石巻マンガランド基本構想」を打ち立てた事に起因します。

萬画館入り口

石ノ森章太郎と言えばサイボーグ009と仮面ライダーシリーズの原作者として有名です。そんなすごい人が石巻にマンガランド構想を作ってくれたのは、北上川の中瀬にあった「岡田劇場」という映画館があった事が縁でした。

この映画館には石ノ森章太郎が学生の頃何度も足を運んだそうです。残念ながら岡田劇場は震災の津波で流されてしまいましたが、同じ中瀬にマンガランド構想に基づいて作られた石ノ森萬画館があります。

もちろん、萬画館も津波の被害を受けましたが、比較的新しい建物でしっかり作られていたため、震災後復旧して今でも営業を続けています。

今回はその萬画館に訪問してきました。

石ノ森萬画館は、なんと言ってもその形が特徴的で、中瀬に行く前から目立ちます。丸い楕円形はUFOのように見えますが、これはデザインをした石ノ森先生の狙い通りです。

網地島ラインの船着き場から見た萬画館。左奥の白い建物が萬画館です。

「海の町、船の町石巻に宇宙船が降り立った」というテーマで作られたそうで、初めて見た子どもはほぼ百発百中で「宇宙船」と言います。

さらに、この萬画館、英語では「MANGATTAN MUSEUM」と表記されますが、これも石ノ森先生の発案です。

建設当時、中瀬には所狭しと建物が並んでいて、航空写真で見るとニューヨークのマンハッタンにそっくりだったそうなんですね。そこから経済の中心がマンハッタンなら、マンガの中心はマンガッタンだ！ということで名付けられたそうです。

建物の中は3階建てで、1階がグッズショップ「墨汁一滴」と休憩スペース、2階が有料展示スペース、3階がマンガ図書館と展望喫茶室という作りになっています。

1階は入館料なしで誰でも入れますので、ふらっと立ち寄ってみるのも良いでしょう。

2階は石ノ森章太郎にちなんだ常設展と、時によって変わる企画展のフロアです。

常設展はサイボーグ009と仮面ライダーを中心に展示が展開されています。特に、歴代ライダーのマスクが全て揃って見られるのは恐らくここだけでしょう。新しいライダーが誕生すると、ちゃんと新しいマスクの展示が増えます。

企画展の内容は時によって変わりますが、原画展や特定のマンガ家を特集した展示、雑誌や作品を中心にした展示など、多種多様な企画を行っています。

企画展は首都圏で開催された展示を石巻で開催するケースもあり、貴重な展示を東京まで行かなくても楽しめる事があります。

また、企画展に連動したワークショップ、有名マンガ家のサイン会やトークショーなどもよく開催されますので、気になる作品の企画展中は情報を集めておくと良いでしょう。情報は萬画館公式ウェブサイトから確認できます。

3階は5,600冊を収蔵するライブラリーの他、カフェがあります。このエリアも1階と同じく無料で入れます。

カフェでは企画展と連動したメニューを出すこともあり、訪問時はサイボーグ009とのコラボメニューが提供されていました。

マンガファンならもちろん、マンガにあまり興味がない方も楽しめる展示になっています。石巻に来たときに寄るのではなく、ここを目当てに石巻に来ても良いくらいのスポットなので、是非一度来てみて下さい。

萬画館のお隣、ハリストス正教会教会堂

萬画館に来るならセットで寄りたいところがもう一つあります。それは、萬画館の他にもう一つだけ中瀬に残った建物、「旧石巻ハリストス正教会教会堂」です。

教会堂外観

この教会堂も津波の被害は受けたのですが、建物そのものは流されずに残ったため、2017年から1年かけて復元工事が行われ、2019年から再度一般公開されています。

元々は1880年に今の場所から500m離れた千石町に建てられた教会なのですが、1978年の宮城県沖地震で大きな被害を受け、1980年に今の場所に移設された経緯があります。

1880年までたどれば日本最古の木造建築教会堂ということになります。何度か再建されてはいるものの、そのたびに元の部材や技術を可能な限り再現していますので、2021年から振り返れば141年前の建築を体験できるということになります。

1Fは和洋折衷の作りです。

中に入ると絨毯と畳が共存した和洋折衷の作りで、二階に上がる60度の急な階段が時代を感じさせます。

二階に上がる階段が急なので、気をつけてください。

階段が急な分2階のスペースは広く、全面に赤い絨毯が敷き詰められた聖堂が再現されています。

教会堂二階の様子

萬画館のすぐ目の前にありますので、萬画館にきたら是非こちらにも立ち寄ってみて下さい。

萬画館とハリストス正教会教会堂のアル中瀬は、震災で大きな被害を受けました。冒頭、石ノ森先生が「まるでマンハッタンのようだ」と言った様子はすっかりなくなってしまいました。教会堂の復旧は2019年までかかりましたが、石巻エリアにはまだまだ震災の爪痕が残っています。もし石巻の復興に少しでもお力添え頂けるなら、石巻エリアファンクラブに入会頂けないでしょうか。会費は無料で、御礼としてプレゼントが当たります。詳しくは以下のリンクからご確認下さい。